お名前の響きからして、ステキだなぁと、軽い気持ちで読み始めたのです。
20世紀前半のイタリアでの思い出を、実際に訪問しつつ、幼なじみと語り合う。。というような内容なのですが、途中、パルチザンのお話しの辺りで、辛くなって、中断してしまったのでした。
本を閉じた後の光景が、切ない気持ちと共に胸に残っていて。返却期限に背中を押していただくことで、続きを読み始めることが出来ました。手元に置いておける本だったら、もう少し時間がかかっていたかもしれません。
無事、少し手前から読み返し、軽やかでいながら、人生の深淵を見つめたことのある方ならではの、諦観を感じさせるような、一冊でした。
淡々とした語り口ながら、印象的な場面がいくつも登場し、ちょうど、同時代の小説やドラマから見聞きしていた部分と重なっています。時代の空気が、ほんの少しだけ、感じられています。
20世紀の当時は、農作業と月の満ち欠けとの関連が、迷信の象徴のように言及される箇所もありますが、21世紀の今、月の農作業との関連が、再び一部で注目されるようになるのも、時の流れかしらと思ったりしました。
時代背景が異なるから、と思うと、私とは異なる目線を持つ方の御本も、ずっと楽に読めますね。同時代の方の御本にも、時折は挑戦してみたいなぁと思ったりしました。

『月と篝火(かがりび)』、パヴェーゼ,